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フィギュアにゆるキャラ、日本文化のキャラクター産業チェーンをひもとく―中国メディア

世界的に有名な「アニメ王国」として、日本はグローバルアニメ分野でどの国も代わることのできない強い影響力を持っている。日本アニメーション協会が昨年12月9日に発表した「アニメ産業レポート2019」の統計によると、2018年度の日本アニメ産業(派生商品を含む)市場の総額は2兆円を超え、そのうち半数近くは海外市場から来ている。このデータも日本アニメの世界的な影響力を物語るものだ。文匯報が伝えた。

■強大なアニメキャラクターがクリエーティブ産業発展の基礎固め

日本のアニメ産業は半世紀に及ぶ発展期を経て、今では巨大なシステムを形成するに至り、日本は世界最大のアニメの制作国であり輸出国となっている。同産業の発端は1920年代にさかのぼり、当時の日本の映画関係者が西側諸国の最新のアニメ制作技術を日本に持ち込み、アニメを試作したのが始まりだ。

1990年代以降、日本のアニメは国際市場でますます人気を集めるようになってきた。「獣兵衛忍風帖」と「攻殻機動隊」の2本のアニメ映画が1995年頃から世界的に有名になった。日本のテレビアニメ「新世紀エヴァンゲリオン」などが世界各国の、とりわけ西側諸国の漫画アニメファンの注目を集めた。2002年には宮崎駿監督の「千と千尋の神隠し」がベルリン映画祭で金熊賞(グランプリに相当)を受賞し、第75回アカデミー賞で長編アニメ映画賞を受賞した。

アニメの流行にともない、アニメのさまざまなキャラクターが人々の心の中に深く入り込むと同時に、日本社会のあちらこちらに浸透するようになり、とりわけクリエーティブ産業に浸透した。強大なアニメ産業がクリエーティブ産業の発展に向けた着実な基礎を打ち立てた。

日本の漫画はアニメとゲームのクリエーティブの重要な源泉の一つであり、アニメゲーム産業の中核でもある。たとえば日本の漫画はテレビアニメ、アニメ映画及び各プラットフォームのゲームにリメイクされている。これと同時に、漫画の影響力はリメイクされることで拡大し、漫画家の思考スタイル、漫画の表現や芸術としての漫画、漫画の解釈の方法なども、日本の社会・文化に極めて大きな影響を与えた。

アニメのクリエーティブは派生商品に属する。おもちゃ、食品、アクセサリーなどの実物製品もあれば、音楽、画像、書籍などの文化製品もある。こうしたさまざまなスタイルのアニメクリエーティブ製品は、キャラクターを中心にして巨大な産業チェーンを構築し、業者に大きな利益をもたらしている。中国の「三国志」に詳しい日本の友人は、「以前は日本のアニメの『三国志』の影響を受け、その後、いろんなメーカーが打ち出したほぼすべての三国志ゲームをプレーし尽くした」と話す。そのため、彼は三国時代の人物や物語を熟知している。

■フィギュア市場が発展中、スマート化が発展の方向

日本アニメ産業の発展にともない、派生したクリエーティブ製品が暮らしのあらゆるシーンに入り込むようになった。特におもちゃ市場でそうした傾向が強い。同産業が生み出した豊かな資源が、おもちゃ産業にたくさんの創作のインスピレーションと市場のチャンスをもたらし、両者が密接に協力する産業共同体を形成した。

18年、日本のおもちゃ市場の規模は8398億円に達し、そのうちフィギュアやプラモデルなどを代表とする趣味性の高いおもちゃが1400億円を占め、最大のシェアを占めている。フィギュア市場は日本では年々強化されており、その背後にある主な要因としてアニメが消費者とフィギュアとの間で感情をつなぐ紐帯になっていることがある。日本の70後(1970年代生まれ)、80後(1980年代生まれ)、90後(1990年代生まれ)は小さい頃から漫画アニメに親しみ、大人になっても好きなキャラクターのフィギュアに強い愛情を抱き続け、フィギュア市場の支え手の中心となっている。彼らのこのような嗜好が次の世代にも影響を与え、フィギュア市場の安定的な成長を支えている。

「機動戦士ガンダム」シリーズの生みの親と呼ばれる富野由悠季監督は以前、「現在制作されているガンダムのアニメはフィギュアを売るためのもの」と述べた。フィギュアは漫画アニメの派生商品の1つとして、多くの場合は著作権所有者が製造するのではなく、著作権所有者とライセンス契約を結んだメーカーが製造し、著作権所有者はライセンス料を受け取る。しかし日本の一部の玩具メーカーは著作権を買い取るだけでなく、アニメの制作に主体的に関わり、オリジナル製品を開発するところもある。日本の老舗おもちゃメーカーの株式会社壽屋はこのような取り組みを進め、大きな成功を収めている。

フィギュア市場に影響を与えるもう1つの主な要因は消費傾向の変化だ。以前は米国系のフィギュアと日本系のフィギュアの棲み分けがはっきりし、市場の販売状況には強い地域性がみられた。しかしここ数年は、インターネット技術の発展によって、アニメの伝播する範囲が拡大し、フィギュア市場では「東西文化の融合」も見られるようになってきた。たとえば「NARUTO-ナルト-」は欧米で人気が爆発し、「ONE PIECE」はアジアの消費者に非常に人気がある。壽屋の清水浩代副社長は、「フィギュア市場の拡大では、第1に消費者に自分の目で見て、自分の手で触れることのできる機会をより多く提供する。今はネット通販の時代だが、フィギュアの実物を直接見たり触ったりできれば、消費者の購買意欲をより強くかき立てることができる。第2にこれまでのような顧客を男女に分けてそれぞれをターゲットとする開発理念をやめ、男女問わずみんなに好きになってもらえる魅力を備えた製品を開発する必要がある。第3に人工知能(AI)技術の発展にともない、フィギュアもスマート化を方向性として努力すべきだ」と話した。

■「匠の心」が地方の特色あるキャラクター製品を生み出す

強大なアニメ産業はクリエーティブ製品のデザインに人材を送り込んでもいる。日本では、大規模な商業施設にも路地裏のストリートにも、さまざまなスタイルのクリエーティブ製品があふれ、その場に身を置けば手ぶらで帰るというわけにはいかない。特に一部の地方の特色が極めて強いクリエーティブ製品は、今や現地の「生きた名刺」のような存在になっている。

観光業では、各地の特色あるクリエーティブ製品が観光地の大小さまざまな店にずらりと並び、観光地もそれぞれの文化的背景や自然の景観を踏まえて、独特の風情のクリエーティブ製品を打ち出す。そのため、観光客は日本の観光地へ行くと、それぞれに異なるクリエーティブ製品を目にすることになる。同じ商品でも「地域限定」のマークがあれば、そこでしか買えない限定商品になる。

このようなクリエーティブ製品には食品、文具、おもちゃ、記念品などがあり、食品類の多くは現地の特色を備えた食材で作られ、パッケージは文化的特徴と地域のシンボルを際立たせたもので、その地方の特色がよくわかるようになっている。おもちゃや記念品は特色ある建築物や景観をキャラクター化したデザインが多く、親しみを感じるものとなっている。

日本の観光地のクリエーティブ製品は量を求めると同時に、質をより追求し、日本の「匠の心」が製品を精巧なものにし、その品質を確かなものにしている。

実際の暮らしをみると、日本では地域によって文化や風土・人情が異なる。自分たちの地域の特色を際立たせるため、一部の地域はマンホールのフタのデザインにも凝り、現地の特徴を紹介すると同時に環境の美化もはかる。日本各地の警察でさえそれぞれのキャラクターがいる。各地の寺や神社などの宗教施設のクリエーティブ製品も特徴があり、きれいな布などに包まれたお守りなどは、宗教的な願掛けという意味合いのほか、素敵な装飾品という側面もある。神社では守護神をキャラクター化するところも多く、たとえば京都の伏見稲荷大社は守護神の狐をイメージしたさまざまなデザインのクリエーティブ製品を打ち出している。

また、日本では各地にゆるキャラがおり、かわいらしいゆるキャラには相当な経済効果があることが事実によって証明されている。各地のゆるキャラの中で最も有名なのは、おそらくここ数年大人気の熊本県の「しあわせ部長」ことくまモンだ。くまモンは最初はゆるキャラとしてデザインされ、同県に多くの観光収入や関連収入をもたらした。くまモンがかわいいイメージと独特のライセンス運営方式により、日本国内はもとより海外でも想像を超える人気を博すようになり、世界でも非常に人気のあるキャラクターになり、熊本県を世界に知らしめるようになるとは、最初は思いもしなかっただろう。

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