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稲わらを土に還す、温室効果ガスの排出量を50%過大評価

中国農業科学院作物科学研究所の作物耕作・生態革新チームは、水田の稲わらを長期的に土に還した場合のメタン(CH4、世界2位の温室効果ガス)の排出に対する影響とそのメカニズムを明らかにした。わらのメタンガス排出拡大効果が、土に還す年数が重なるにつれ著しく低下する傾向があり、国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)はそのメタンガスの排出量を50%近く過大に見積もっていたことが分かった。関連研究成果は17日未明、「Science Advances」(電子版)に掲載された。科技日報が伝えた。 

同チームの責任者、中国農業科学院作物科学研究所研究員の張衛建氏によると、中国では毎年8億トン以上の作物のわらが生産されているが、その養分の含有量は500万トン以上のアンモニア、1000万トン以上の過燐酸石灰、1000万トン以上の硫酸カリウムに相当する。わらを土に還すことで畑の化学肥料の使用量を大幅に削減できる。つまりこれは土壌の健康を保証し、化学肥料の「ゼロ成長」さらには「マイナス成長」を実現する重要な措置であり、わらの焼却処分による大気汚染を回避する有効な手段でもある。しかし、稲わらは土壌のメタン発生の主な原因の一つであり、学術界と一般の人々からはメタンの排出を著しく拡大することが懸念されている。 

IPCCはこれまで、稲わらを土に還すことのメタンの排出促進効果は、土に還す量のみと関連しており、その年数とは関連性がないとしていた。ところが同チームは15年の長期的な試験により、その影響が年数の増加により目に見えて減少する傾向を明らかにした。水田のメタン排出は土壌内のメタン菌と酸化菌によって制御される。前者はわらなどの有機物と嫌気性環境を好み、後者はメタンと酸素を好む。水田に水が張られると、土壌内の酸素は主に稲の株と根から取り込まれる。わらを土に還し始める当初、わらと水が菌の迅速な成長を刺激し、大量のメタンが発生する。その際に稲の株と根の成長はわらを土に還すことの抑制を受け、酸素の移動や酸化菌の成長に影響が及ぶため、水田のメタンが酸化されず、排出が増える。しかし、わらを土に還し始めてから約3年後、水田の土壌はよく肥え、稲の株と根が力強く成長し、酸素の輸送を促す。土壌の酸素含有量が急速に高まり、酸化菌の成長が加速し、メタンを二酸化炭素に酸化させ、メタンの排出量が著しく減少する。

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