史上最大規模の貿易戦争がさらに激化しそうな勢いをみせている。米国は現地時間10日、さらに2000億ドル相当の中国製品に10%の関税を追加適用する方針を明らかにし、新たな対象品目リストを公表した。また、8月に公聴会を実施する計画だとしている。中国新聞社が伝えた。
この発表に対し、中国商務部の報道官は直ちに声明を発表し、その中で少なくとも2つの重要な情報を明らかにした。
1.中国は米国の脅しや恫喝に屈することなく、引き続き国と国民の利益を固守
商務部報道官は声明の中で、今回の米国の追加関税方針について、「全く受け入れられない」とし、「強く抗議する」との姿勢を初めて明確に示した。
さらに報道官は、「国の核心的利益と国民の根本的利益を守るために、中国政府はこれまで同様、必要な対抗措置を取らざるをえない」とした。
北京のある学者は、「中国が応戦する姿勢を固めたのは、米国の貿易覇権主義のやり方が中国の利益を大きく損ない、回復傾向にある世界の経済や貿易を窮地に追いやる可能性があるからだ」と説明している。
中国社会科学院の世界経済・政治研究所の東艶(ドン・イエン)研究員は、最近中国新聞社が開催したフォーラム「中米貿易トラブルの背後にある攻防」で、「中国は、米国との貿易が正しい軌道に戻るよう尽力したが、米国は法外な要求を次々と行い、中国が受け入れられる最低ラインを超えてしまった。こうした状況においてはどれほど理性ある中国人でも徹底抗戦という選択しかなくなる」との見方を示した。
中国国際問題研究院・米国研究所の滕建群(ション・ジエンチュン)所長も、「米国に端を発した貿易戦争は、単に貿易不均衡を解決するためだけではなく、中国の長期発展を阻む意図がある。中国としては一歩も引けない状態だ」と指摘する。
2.中国は理性と冷静さを保っており、今後の対抗措置はターゲットをしぼることに重点
中国の公式データによると、2017年における中国の対米輸出は約4300億ドルで、米国からの輸入は約1500億ドル。商務部の報道官は最近、「米国が新たな対象品目リストを公表すれば、中国は、量的・質的措置を講じ、対抗する」との姿勢を示した。
中国商務部研究院の梅新育(メイ・シンユー)研究員は、「米中貿易関係は不均衡であるため、今後はそれぞれ異なる商品を対象にした対抗措置となるだろう」との見方を示す。
中国国務院発展研究センター産業経済部の趙昌文(ジャオ・チャンウェン)部長は、「今後、中国は特定の産業分野、特定の人々、特定の地域にターゲットを絞った科学的な対応に力を集中し、米国が身を引くよう仕向けなければならない。この方法は効果的だろう」との見方を示す。
商務省が述べる「必要な対抗策」とは、中国国内産業が受ける影響を十分に考慮したうえで、反撃するという意味で、悪い結果が生まれるかを顧みないというわけではない。
米国が最近340億ドル相当の中国製品に対する追加関税を課したのを受け、中国が対抗措置を講じた際、商務部は、「中国は米国製品に対する追加関税対象品目リストを決める過程で、代替輸入商品や貿易、投資に与える全体的な影響を十分に考慮した」とし、追加関税による税收を、企業や労働者が受ける影響を緩和するために用い、その他の国や地域の農産品、水産品、自動車などの輸入を増やすよう奨励することを含む、貿易摩擦の影響を緩和させる4つの対策を打ち出した。
そのため、今回、米国が追加で2000億ドル相当の中国製品に追加関税を発動する計画を発表したことに対する対抗措置も、中国国内の経済への影響を十分に考慮し、その代価を最小限にとどめるよう配慮したものとなるだろう。
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