老後資金の救世主 急増するリバースモーゲージに飛びつく前に

 最近「リバースモーゲージ」という言葉をテレビコマーシャルなどで耳にする方が多いのではないだろうか。リバースモーゲージとは自宅等の不動産を担保に、極度額を設定し、極度額内で繰り返し借入を行い、借入人の死亡時に自宅等を売却することで、返済を行うというものだ。

 高齢者で、自宅は所有しているものの生活資金が苦しい人にとっては、事実上自宅を「現金」に換えて、生活資金を捻出できる、というメリットが売り文句である。

 このローンの良いところは、自宅を担保に入れて、返済は金利分も含めて、自身が死亡したときなどに一括返済すればよいという点だ。

 

自宅を担保に入れてそのまま住み続けて「豊かな老後」

 自分には愛着のある家だが、子供たちは都心のマンション住まいで戻ってくる予定もないし、ましてや自宅を引き継ぐ意思もない。それならば自分の家を「食いつぶし」て、死んだときに売却して返済すれば、何の後腐れもなく、豊かな老後生活ができるというものだ。

 最近の相続の現場では親の家は人気がないという。かつては「高嶺の花」だった郊外戸建て住宅は、いまどきの共働きがあたりまえの子供世帯にとってはなんの魅力もない。相続しても管理や税金が面倒くさい。彼らが欲する親の遺産はもっぱら「現金」というわけだ。

 それならばわかったよ。自分たちは老後資金もあまり豊かとは言えないから、自宅の「資産」としての価値分は、生活資金に繰り入れさせてもらうよ、というある意味合理的な思想に基づいた商品がリバースモーゲージと言えそうだ。

 リバースモーゲージは、そのまま自宅に住み続けることが前提なので、実際には郊外戸建て住宅を「脱出」しているわけではないのだが、資産価値を生活資金という領域に「脱出」させているというわけだ。

 近年、三大メガバンクをはじめとする金融機関が続々とリバースモーゲージに参入しているが、それぞれのリバースモーゲージ商品の案内を見ると、その仕組みはおおむね次の通りだ。

 (1) 住宅の担保価値を評価
 (2) おおむね担保価値の50~70%程度の極度額を設定
 (3) 極度額の範囲で毎月利用可能額を設定し、繰り返し借入ができるようにする
 (4) 金利は住宅ローンなどよりも高い3%程度の変動金利
 (5) 返済は元利金あわせて期限一括返済または借入人の死亡時の一括返済
 (6) 相続人の同意が必要

 ここで注意したい点は、担保に入れた自宅の価値だ。金融機関は一定期間(たとえば1年)ごとに担保価値を見直し、評価が下がった時は、極度額の変更、利用可能額の低減などを行う。また、担保価値を下回った場合には追加担保の差出や期間内での借入額の返済なども要求してくる仕組みになっている。

 借入人が死亡したときは、自宅を売却して返済できればよいのだが、売れなかったり、売却金額が、借入額に満たない場合は、その返済は相続人にも及ぶというところもポイントだ。

「売れない家」と膨大な借入金と利息の返済に悩まされるリスク

 郊外戸建て住宅地はいま、急速に高齢化が進み、都心居住が強まる中、その資産価値は下がり続けている。とりわけ駅からバスでアクセス、都心まで1時間以上もかかるような家はいざ相続となった時に簡単には売却できない、というリスクが今後急速に高まってくることが予想される。売却できなければ、結局相続人である子供たちは、親の残していった、「やっかいものの不動産」とそこにへばりついた膨大な借入金とその利息の返済に悩まされることになるわけだ。

 親は子供が興味のない家だから次の世代に残すのではなくその資産価値を味わい尽くせばよい。子供からみれば、どうせ相続しても自分は住まないし、売ってしまえばよいと思っていたので好都合だ、「親は親、子は子」と考えがちだ。

 しかしこの一見すると理にかなった、みんながハッピーなように見えるリバースモーゲージ。相続が発生して、さあ売ろうと思った時に、「売れない!」「親の借入額以下でしか売れない!」という事態に遭遇した時に何が起こるのだろうか。

「親が勝手に借金しただけで、自宅を売ってしまえばそれでよいと思っていた」といくら叫んでも金融機関からは「足りない分は相続人のあんたに払ってもらいましょう」という冷たい返事が返ってくるのだ。

「親父の家なんだから好きにすれば」は厳禁!

 リバースモーゲージの商品性をよく考えなければならないのは、実はこれから死んでいく親なのではなく、このリスクまでをも「相続」する可能性のある子なのである。

 肝心なのはリバースモーゲージの結果として「借金まみれ」になった親の家を最後に売却して返済するのは、どこまでいっても子自身であるということだ。ニコニコと銀行員の話を聞く親の傍らで「ま、親父の家なんだから好きにすればいいんじゃね」なんて鼻をほじっているバカ息子、アホ娘になってはならないのだ。

 

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